雷のような恐ろしさに遭遇した時や厄介なことに遭遇した時に発する言葉に「クワバラクワバラ」があります。最近ではそう身近に聞く言葉でもないようですが・・・。現代的にはその恐ろしいことや物事が何事もなく通り過ぎて欲しいとことで、差し詰めスルーしてくださいと祈る言葉でしょうか。このクワバラの語源は菅原道眞公の領地桑原(桑畑)には雷が落ちないという言い伝えが元になっているという説がありますが、桑は昔から人の生活と密接な関係を持っていたということです。
桑といえば養蚕を思い浮かべる方も多いかもしれません。養蚕は5~6千年ほどむかしに中国の揚子江流域で始まり、日本には紀元前200年頃に稲作と一緒に伝わったと言われています。化学繊維が生まれるまでは、生糸を作る養蚕業が大きな産業でした。そのため桑の栽培も全国的に広がり、誰でも知っている植物となりましが、それは繭を作るお蚕様の餌としての大切な存在であるという認識であり、人が口にするものとしての認知は逆に低くなってしまいました。しかし、桑は元来人間の健康とも関係の深い植物でした。
桑は古来の薬物書の
中品に記載されている植物です。
【神農本草経】は農業、薬学の神様(神農様)が我が身で動植物や鉱物の効能を試し、その効能を一年の日数に合わせた365種の薬効別に分類している書物です。桑は中品に分類されています。
上品(薬)(じょうほん)120種 | 養命薬(生命を養う目的)不老長寿 |
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中品(薬)(ちゅうほん)120種 | 養性薬(体力を養う目的)病気予防 |
下品(薬)(げほん)125種 | 治療薬 毒性が強いものが多い 毒を持って毒を制す |
桑は部位により、特徴的な成分分布を持っています。 葉にはクロロゲン酸・1-デオキシノジリマイシン(1-DNJ)などのイミノ糖・フラボノイドなどの 成分が多く、根には多種類のポリフェノールが主成分です。
(参考文献:クワ葉の薬効
(株式会社ヘルス研究所)発行)
構造がブドウ糖に極めて類似している糖様物質で桑の特徴的な成分のひとつです。 食物のデンプンなどの炭水化物は胃で消化され、最終的に小腸上皮にあるα-グルコシダーゼと呼ばれる糖分解酵素によりブドウ糖に分解されて、体内へ吸収されます。1-デオキシノジリマイシン(1-DNJ)はこのα-グルコシダーゼを阻害する作用があるので糖の吸収を抑える結果になります。 (参考:独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構)
このように桑葉には血糖の上昇を抑える働きがあるので、お茶などで摂取することで日常の健康を昔から助けてきました。
成分
サラ桑のはじまりは
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